<食品衛生>食品の安全衛生及び健全性等を確認する分析方法の最新研究成果

平成21年5月14,15日に、第97回日本食品衛生学会学術講演会が開催された。本学会は、春と秋の年二回開催され、食品の安全衛生及び健全性等を確認(検証)するために必要となる分析方法についての最新研究成果が発表される。
食品企業在籍時代から参加し、毎回何らかの刺激を受ける学会の一つである。今回興味深く感じた研究成果について記録した。

<研究成果>

  • 遺伝子組換えトウモロコシの粒検査法の妥当性確認試験について

  ⇒スタック品種が増加すると、現行の定量PCRでは正確な定量結果が得られない場合があることから、
   1穀粒づつの検査法の妥当性確認を行ない、良好な結果が得られていた。今のところ、意図せざる
   混入が5%を超えるという報告はないのでIPハンドリングが機能していると思われるが、今後スタック
   の数が増えると、混入率は変わらないものの定量値が上昇することが予想される。
   将来を予測した先進的研究であるが、いったい何粒測定すれば妥当な結果といえるのか?また、
   検査作業が恐ろしく大変ではないか?

  • 特定原材料の測定法について

  ⇒平成20年6月に特定原材料として追加されたえび、かにの確認検査法の妥当性確認結果が報告された。
   ELISA法ではえび、かにの判別ができないことから、含まれているか否かを確認をする方法である。
   発表は、国立医薬品食品衛生研究所とハウス食品との共同研究である。特定原材料の測定法の研究に
   関しても、民間企業が貢献している。
  ⇒えびのプロテアーゼ失活方法、毒物と認定された還元剤の代替方法について検討結果が報告された。
   測定精度の向上と試薬管理の軽減について有用な方法であると感じた。測定キット毎に妥当性確認を
   行い良好な結果が得られると、公定法が変更されるかもしれない。

  • 農産物・加工品の品種/食品の産地の判別技術

  ⇒品種や産地を、DNA分析や金属分析等で判別する方法の検討結果が報告された。食品を取り扱うフード
   チェーン全体が誠実であればこのような判別技術は必要ないが、一部の私利私欲を貪る関係者の
   偽装事件が継続していることから、時代の流れとして必要な技術となってしまった。

  • 食品中の微小異物分析技術

  ⇒最新機器を使用した異物(無形の毒物を含む)の分析技術についてサントリーから報告された。
   毒物を蛍光X線装置で測定する技術は、恐れ入りました。もしかしたら、世界一の食品分析技術を
   もつ企業かもしれない。
   (普通の食品企業なら、ここまではお金かけられないでしょう!水は儲かるのかな?)

<第97回日本食品衛生学会学術講演会プログラム>
 http://www.shokuhineisei.jp/meeting/97_prg.pdf